消費税率UPで不動産価格は上がるの?【後編】
増税後に買ったほうがお得な場合があるんです!
前回、意味深にブログを終わらせてしまい申し訳ございません。姑息な手を使ってしまいました…
前回の続きをお送りします。
17年前に消費税率が引き上げられた際に、駆け込み需要後の対策を十分に政府が行わなかったので、建築・不動産業界は深刻な不景気となり、デフレ要因の一つとなったので、今回は政府も万全の対策を打ってきました。
その目玉の一つ目が『住宅ローン減税制度の拡充』です。(詳しくはこちらを参照下さい)
住宅ローン減税制度とは
住宅ローンを借入れて住宅を取得する場合に、取得者の金利負担の軽減を図るための制度です。毎年末の住宅ローン残高又は住宅の取得対価のうちいずれか少ない方の金額の1%が10年間に渡り所得税の額から控除されます(住宅の取得対価の計算においてはすまい給付金の額は控除されます)。また、所得税からは控除しきれない場合には、住民税からも一部控除されます。
平成25年度までは10年間で最大200万円までの控除額だったのが、平成26年度からは、10年間で最大400万円までの控除額となります。(長期優良住宅・低炭素住宅の場合は、平成25年度までは300万円・平成26年度からは、500万円となります)
控除額の差額が200万円はかなり大きいです。例えば、建物価格が2,000万円ですと、消費税5%で100万円、8%で160万円、10%で200万円となるので、十分に増税分が還元される計算になります。
「じゃあ、増税した方が実質負担額が安くなるやん!ラッキー!!」
しかし、年末の住宅ローン残高が控除対象ですので、最大控除額の恩恵受けようとすると、10年後の年末の住宅ローン残高が4,000万円以上で、所得税と住民税を年間40万円以上納税しているというハードルがあります。また、中古住宅には適用されません。
「それなら収入が多くて、新築の高額物件を買える人しか得しないんじゃないの?平均所得レベルの人にはメリットないの?(金持ちが有利な政策ですか…)」
いえいえ、収入があまり多くない方にも別の政策があります!
消費税率UPによる景気対策の目玉、二つ目は『すまい給付金』です。(詳しくはこちらを参照下さい)
すまい給付金とは
消費税率引上げによる住宅取得者の負担をかなりの程度緩和するために創設した制度です。住宅ローン減税は、支払っている所得税等から控除する仕組みであるため、収入が低いほどその効果が小さくなります。すまい給付金制度は、住宅ローン減税の拡充による負担軽減効果が十分に及ばない収入層に対して、住宅ローン減税とあわせて消費税率引上げによる負担の軽減をはかるものです。このため、収入によって給付額が変わる仕組みとなっています。
消費税率が8%の場合、収入額の目安が約510万円以下の家庭で、10万円〜30万円の給付金が受け取れるというもの。(収入額は、都道府県民税の所得割額で判断されます)
消費税額が10%になると、収入額の目安が約775万円以下の家庭で、10万円〜50万円の給付金となります。
但し、個人間売買の中古住宅は、消費税が非課税のため給付されません。
また、この二つ以外にも様々な控除等があり、出来るだけ増税の影響が少ないように配慮している政策が伺えます。
消費税の増税後の方が、実質負担額が下がる可能性があることをご理解頂けましたか?(建物価格や住宅ローン借入額、収入額によりどの程度軽減されるかは変わってきますので、一概には言えませんが…)
景気の動向によっては追加緩和の可能性もありますので、「次回の消費税率UPまでに購入を !」と焦らず、実質支払額が増税前と増税後のどちらが少なくなるかをご検討下さい。
また、物件価格は景気に連動し、デフレに傾くと価格は下落傾向になりますし、住宅ローンの実質金利も下がる可能性が高いので、大局的な景気動向を見極めることが大事です。
アベノミクスで景気が上昇したはずなのに、全国平均では公示地価は下がってますもんね…(三大都市圏でも大阪圏で住宅地は下がってるし…)
不動産は大きな買い物。十分に検討してのご購入をお勧めします!(あれ?タイトルの回答になってないような…)
【まとめ】
- 住宅ローン減税制度の拡充で、最大200万円の控除額の拡充
- 住まい給付金の創設で、消費税8%の場合、10万円〜30万円の給付
- 物件価格は景気動向で変化する。消費税率UPだけで判断せず大局的な見極めを!